老人ホームの費用が払えない時の7つの対処法|公的制度から家族の負担軽減まで
老人ホームの費用が払えない場合の7つの対処法を解説。高額介護サービス費・負担限度額認定・生活保護・世帯分離など、公的制度を活用した負担軽減策をまとめました。
【最短回答】老人ホームの費用が払えない時はどうする?
公的な軽減制度を活用すれば、負担を大幅に減らせる可能性があります。 まずは「高額介護サービス費」と「負担限度額認定」の2つを確認しましょう。
- 高額介護サービス費 → 月の自己負担額に上限があり、超えた分が払い戻される
- 負担限度額認定 → 施設の食費・居住費が大幅に軽減される
- 施設の見直し → 有料老人ホームから特養に変更するだけで月額が半分以下になるケースも
※ 介護費用の負担軽減は制度が複雑です。まずはお住まいの市区町村の介護保険窓口にご相談ください。
老人ホームの費用はいくらかかる?相場を確認
まず、老人ホームの種類ごとの費用相場を確認しましょう。施設によって費用は大きく異なります。
| 施設の種類 | 月額費用の目安 | 入居一時金 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 5〜15万円 | なし | 公的施設で最も安い。要介護3以上 |
| 介護老人保健施設(老健) | 8〜15万円 | なし | リハビリ目的。入居期間は3〜6ヶ月 |
| グループホーム | 12〜20万円 | 0〜30万円 | 認知症対応。少人数で家庭的 |
| 介護付き有料老人ホーム | 15〜35万円 | 0〜数百万円 | 手厚い介護。費用は高め |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 10〜25万円 | 敷金程度 | 比較的自立した方向け |
ポイント: 有料老人ホームの月額15〜35万円は、年間180〜420万円。年金だけではまかなえないケースが多いのが現実です。しかし、以下で紹介する公的制度を活用すれば、負担を大きく減らせます。
対処法1:高額介護サービス費を申請する
高額介護サービス費とは、1ヶ月に支払った介護サービスの自己負担額が上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。
所得に応じた自己負担の上限額
| 所得区分 | 月額の上限(世帯合計) |
|---|---|
| 生活保護受給者 | 15,000円(個人) |
| 住民税非課税で年金80万円以下 | 15,000円(個人)・24,600円(世帯) |
| 住民税非課税世帯 | 24,600円 |
| 住民税課税〜年収約383万円 | 44,400円 |
| 年収約383万円〜約770万円 | 44,400円 |
| 年収約770万円〜約1,160万円 | 93,000円 |
| 年収約1,160万円以上 | 140,100円 |
申請方法
- 対象者には市区町村から申請書が届くことが多い
- 届かない場合は介護保険窓口で確認
- 一度申請すれば、以後は自動的に払い戻しされる
見落としている方が多い制度です。 施設に入居中であれば、一度市区町村の窓口で該当するか確認してみましょう。
対処法2:負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)を申請する
負担限度額認定とは、所得の低い方が施設に入居する際、食費と居住費が大幅に軽減される制度です。介護保険施設(特養・老健・介護医療院)とショートステイが対象です。
軽減後の食費・居住費の目安(1日あたり)
| 段階 | 対象者 | 食費 | 居住費(多床室) | 居住費(個室) |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護受給者等 | 300円 | 0円 | 820円 |
| 第2段階 | 住民税非課税・年金80万円以下 | 390円 | 370円 | 820円 |
| 第3段階(1) | 住民税非課税・年金80〜120万円 | 650円 | 370円 | 1,310円 |
| 第3段階(2) | 住民税非課税・年金120万円超 | 1,360円 | 370円 | 1,310円 |
軽減なしの場合と比較すると:
- 食費:通常1,445円/日 → 第2段階なら390円/日(月約3万円の節約)
- 居住費(個室):通常2,006円/日 → 第2段階なら820円/日(月約3.5万円の節約)
合計で月6万円以上軽減されるケースもあります。
申請方法
- 市区町村の介護保険窓口で申請
- 預貯金額の要件あり(単身で650〜1,000万円以下など段階ごとに異なる)
- 認定されると「負担限度額認定証」が交付される
- 認定証を施設に提示する
対処法3:生活保護を検討する
年金や貯蓄だけでは施設費用をまかなえない場合、生活保護の申請を検討しましょう。生活保護を受けながら特別養護老人ホーム(特養)に入居することは可能です。
生活保護で施設入居する場合のポイント
- 入居できる施設: 主に特別養護老人ホーム。一部の有料老人ホームも可能
- 自己負担: 生活保護の介護扶助で介護費用が全額支給される
- 生活費: 施設入居中は「施設入所基準生活費」として月約1〜2万円程度の生活費が支給される
生活保護の申請先
お住まいの市区町村の福祉事務所に相談してください。
注意点:
- 預貯金や不動産などの資産がある場合は原則として活用が求められる
- 親族への扶養照会が行われることがある(ただし、強制ではない)
- 生活保護の申請は「恥ずかしいこと」ではありません。法律で認められた権利です
対処法4:世帯分離を検討する
世帯分離とは、同じ住所に住んでいても住民票上の世帯を分けることです。介護費用の軽減に効果がある場合があります。
なぜ世帯分離で費用が下がるのか
介護保険の自己負担額は「世帯の所得」で判定されます。高収入の家族と同一世帯だと、親の介護費用の自己負担額も上がってしまいます。
例:
- 父(年金月10万円)と息子(年収500万円)が同一世帯 → 負担上限が上がる
- 世帯分離して父が単独世帯に → 父の年金だけで判定 → 負担上限が下がる
世帯分離で軽減される可能性がある費用
| 費目 | 軽減される仕組み |
|---|---|
| 介護サービスの自己負担割合 | 3割→1割に下がる可能性 |
| 高額介護サービス費の上限 | 世帯の上限額が下がる |
| 負担限度額認定の対象 | 世帯全員が住民税非課税になれば対象に |
| 国民健康保険料 | 世帯の所得で算定されるため下がる可能性 |
世帯分離の注意点
- 国民健康保険料が世帯ごとにかかるため、逆に増える場合もある
- 市区町村の窓口で届出するだけで手続きは簡単
- 事前に介護保険窓口で「分離するとどうなるか」シミュレーションを依頼すると安心
※ 世帯分離は制度上可能ですが、個々の状況により効果が異なります。市区町村の窓口でご確認ください。
対処法5:施設の種類を見直す
現在入居中の施設が費用的に厳しい場合、より費用の低い施設への住み替えを検討しましょう。
施設の住み替えパターン
| 現在の施設 | 住み替え先の候補 | 月額の差額イメージ |
|---|---|---|
| 介護付き有料老人ホーム(月25万) | 特養(月10万) | 月15万円の節約 |
| サ高住(月20万) | グループホーム(月15万) | 月5万円の節約 |
| 介護付き有料老人ホーム(月30万) | 老健(月10万) | 月20万円の節約(一時的) |
特養への入居を目指す場合
特養は費用が最も安い施設ですが、入居待ちが多いのが難点です。
- 要介護3以上が入居条件
- 待機者が多い地域では1〜3年待ちも
- 複数の施設に同時に申し込みが可能
- 緊急度が高い方は優先される場合がある
対処法6:自治体の独自の補助金を調べる
国の制度に加えて、市区町村が独自に設けている補助金・助成金がある場合があります。
自治体の補助金の例
- 家族介護慰労金: 要介護4・5の高齢者を在宅で1年以上介護している家族に支給(年額10万円程度。自治体により異なる)
- おむつ代の助成: 在宅介護で使用するおむつの費用を助成
- 住宅改修の上乗せ助成: 介護保険の住宅改修費(上限20万円)に加えて、独自の上乗せ助成
- 配食サービスの補助: 高齢者向け配食サービスの費用を一部補助
調べ方
- 市区町村の介護保険窓口・高齢福祉課に問い合わせる
- 市区町村のWebサイトで「高齢者」「介護」「助成金」で検索
- 地域包括支援センターに相談する
ポイント: 自治体ごとに制度が大きく異なります。「こんな制度があったのに知らなかった」とならないよう、一度窓口で相談しておくと安心です。
対処法7:家族間で費用分担を話し合う
公的制度の活用と並行して、家族間での費用分担も重要です。
話し合いで決めておくこと
- 月々の負担額をどう分けるか(均等割り・収入に応じた割合など)
- 一時金(入居時の費用)は誰が負担するか
- 本人の年金・貯蓄で足りない分をどう補うか
- 費用負担が難しくなった場合のルール
費用分担の考え方の例
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 均等割り | 公平感がある | 収入差がある場合に不満が出やすい |
| 収入割合に応じて | 負担感が均等 | 収入の開示が必要 |
| 近くに住む人が多めに | 介護の負担と金銭のバランスが取れる | 「遠くに住んでいるから得」になりがち |
| 相続分を考慮 | 将来の相続で精算 | 約束が守られるか不安が残る |
大切なこと: 費用分担はトラブルになりやすいテーマです。できれば口頭だけでなく、書面やメールで合意内容を残しておきましょう。
やってはいけないこと・注意点
費用が払えないからといって、以下の行動は避けてください。
- 滞納を続ける: 施設から退去を求められる可能性があります。支払いが厳しい場合は、早めに施設の相談員やケアマネジャーに相談しましょう
- 介護を放棄する: 高齢者虐待(ネグレクト)にあたる可能性があります
- 高金利の借金をする: 介護費用のために消費者金融やカードローンを利用すると、さらに生活が苦しくなります
- 制度を調べずにあきらめる: 使える制度を知らないだけで、申請すれば大幅に軽減されるケースは非常に多いです
よくある質問(FAQ)
Q. 年金だけで老人ホームに入れますか?
A. 特別養護老人ホーム(特養)であれば、月5〜15万円程度のため、年金だけで入居できるケースがあります。さらに負担限度額認定を受ければ、月5万円前後で入居できる場合もあります。
Q. 親の介護費用は子が負担する義務がありますか?
A. 民法上、直系血族(子)には親の扶養義務があります。ただし、自分の生活を犠牲にしてまで負担する義務はなく、「自分の生活に余裕がある範囲」で良いとされています。
Q. 入居中に費用が払えなくなったらすぐ退去ですか?
A. すぐに退去を求められることは少ないです。まずは施設の相談員やケアマネジャーに相談してください。公的制度の活用や施設の変更など、解決策を一緒に考えてもらえます。
Q. 生活保護を受けると有料老人ホームに入れませんか?
A. 一部の有料老人ホームは生活保護受給者の入居を受け入れています。ただし、選択肢は限られるため、福祉事務所やケアマネジャーに相談するのが確実です。
まとめ
老人ホームの費用が払えないと感じたら、まずは公的な軽減制度を確認しましょう。
- 高額介護サービス費と負担限度額認定の2つは必ずチェック
- 世帯分離で介護費用の判定基準が変わる可能性あり
- 施設の見直しで月額費用を大幅に下げられるケースも
- 生活保護は「恥ずかしいこと」ではなく法律で認められた権利
- 家族間で費用分担を話し合い、書面で残しておく
「知らなかった」で損をしている方が非常に多い分野です。お住まいの市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターに相談すれば、使える制度を教えてもらえます。一人で悩まず、まずは相談してみてください。
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